ゼロスさんの一人称、意外とムズイです……
 以上が、アサシン村の村おこしで起きた内容です。
 人間とはおろかでもろく、脆弱な生き物(ある人達は除きますけどね当然)ですが、見物する分には損は無いと思えてしまう生き物 ですね。
 それにしても獣王さま、いきなり面白そうな事レポートにまとめてよこせ、なんて横暴ですよ〜……そりゃ、今は仕事が 無いですし、リナさん達の傍にいれば面白い出来事には事欠かきませんけど。
 現に今――――――


 ドンガラガッシャン!!


「あ〜〜〜!!またやりやがったな!!」
「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ〜〜!!」
「マルチナさん、またやっちゃったみたいですね〜」
「バイトには慣れてるはずだし、自業自得なんだからほっときなさいよ」

 僕がペンを走らせている手を止めて苦笑すると、ベットでゴロゴロと寝転がり、先程露店で買った焼き菓子を頬張りながら、そこそこ 辛辣な言葉を僕へ投げかけるのは、

「そう思ったら、立て替えてあげればどうですか?リナさん」

 リナ=インバース。
 僕が今まで出逢った人間という種の中で、一番興味を抱く人、言葉を変えるなら、見ていて飽きない人、といいましょうか。

「じょ〜だん、何であたしがあんな奴らの代金立て替えなくちゃなんないのよ」
「それを恩に着せてこき使う、という手もありますよ?マルチナさんあれでも王女さまですし」
「ガウリィはもともとあたしのマジックアイテムみたいなもんだし、マルチナは盾代わりにしかならないから損する」

 ……せめて人間扱いしてあげてくださいよ、魔族の僕でもちょっぴり同情してしまうじゃないですか……
 ここは街にある宿の個室、いるのはリナさんと勝手にお邪魔している僕だけです。
 いつもだったらリナさんとアメリアさんマルチナさんの女性組で一部屋、僕とガウリィさんとゼルガディスさんで一部屋で宿を取る、 のが常なんですけど…………

「お〜、兄ちゃんやるね〜。こっちのまき割りも全部やってくれや」
「おう!」

 開け放たれた窓の下から、威勢のいいおじさんの声と聞きなれた声が届いてきます、ガウリィさんせいがでますね〜。
 何故このような状況下になっているかというと、それはそれ、不幸が偶然重なったといいますか。
 まずはここに宿をとろうとして、アメリアさんが自分の財布と預かっていたゼルガディスさんの財布、それにガウリィさんの財布を どこかに落としてしまった事が発端ですかね。
 街道沿いの定食屋で、アメリアさんがゼルガディスさんとガウリィさんのお会計を一緒にすませるためにお二方から財布を預かり、 そのまま、というのが致命傷だったといいますか、それともここに来る前にリナさんに不必要な一言(要するに機嫌を損ねる言葉です)を いってしまって彼女にどつかれたのがいけなかったのか……
 そういう訳で、アメリアさんとゼルガディスさんはお財布を探しに来た道を戻っている最中なんです。
 お金に意地汚……もとい、金銭感覚がしっかりしているリナさんは、自分できちんと支払って、自分でちゃんと財布を肌身離さず 持ち歩いているので、そんな事は滅多にありません。
 そしてマルチナさんとガウリィさんは、この宿屋にあった唯一の高価な代物を、うっかり壊してしまいまして、無一文のガウリィさんと、 王女なのにはした金しか持っていないマルチナさんが弁償できるはず無く、宿の人達にこき使われてる、という次第で。
 当然リナさんが、彼らに付き合うはずも宿代を立て替えてあげるはずもなく、こういう状況下が生まれているという訳なんですよ。

「あ〜、周りが馬車馬の様に働いている傍で、優雅なひと時を過ごす……最高のぜいたくよね〜v」
「リナさん、それ……」
「もち本気v」
「ですよねぇ……」

 リナさん……魔族になりませんか?素質充分なんですけど……

「何考えてんのよ……」
「い、いえ何も……(ス、スルドイ)」

 少し慌ててしまったので、リナさんは僕をジト目で睨みつけますが、これ以上追求する気は無く、起き上がってベットの縁に座ると、 焼き菓子の入った袋を隣に移動させて(落ちませんか?)僕が持ってきた魔道書(暇つぶしに何か魔道書探してこいと言われました……) を読み始めました。

「そういえば、あんたさっきから何書いてんのよ?」
「獣王さまに提出するレポートを」


 ブピッッ!!


「……大丈夫ですか?」
「大丈夫な訳ないでしょ!さらっと何言ってんのよあんたわ!!」
「え〜、でも、これって仕事は仕事ですけど、獣王さまの趣味みたいなものですし」
「……いったい、何書いてるのよ?」
「仕事がくるまで人間界ぶらつくなら、何かおもしろい事あったら報告しろと言われてまして。
 この間の村おこしで起こった事をまとめてレポートに」
「……………………魔族ってさ、実は暇なの?」
「それは秘密ですv」

 ある意味核心をついているんですが、それを悟らせてしまっては魔族の名がすたりますしねv
 僕は微笑む仕草をすると、ペンを止め、文字を書き込んでいた羊皮紙を手品の様に、手の中で消失させました。
 もちろん、獣王さまに送ったのですが。
「あれってただの羊皮紙じゃないわよね?」
「それも秘密ですv」
「ま、いいわ……それよりゼロス、おなかすいたからお弁当買ってきて」
「さっきまで焼き菓子……いえ、なんでもありません、いってきます……」

 リナさんの食欲は、知らない訳ではありませんから、ツッコミ入れても無駄ですよね……それにしても、魔族使いが荒いです、リナさん…… したがっちゃう僕も僕なんですけどね、まぁやる事終えて、暇なのは事実ですし。















 後日、珍しくこのレポートの返信が届きました、何が書いてあるんでしょう?
 とりあえず、封を切り、中に入っている便箋を開いて書かれた文字を読むと―――


 ドゴタッッッッ!


「ん〜?どうしたゼロス、思いっきりこけて」
「あ、いや、何でもありません、えぇ……」

 じゅ、獣王さま〜〜〜!!あなた様はいったい何を考えてらっしゃるんですか!!!

「あれ?お手紙ですね、誰からですか?」
「魔族のこいつに手紙出すなんぞ、魔族以外にいないだろ」
「あ、もしかしてこの間のレポートの返事?見せてみなさいよ」
「え?!駄目ですよ!!」
「あ〜、俺、ゼロスがこける時にその手紙の中身見えたんだけど」

 はぃ?!そこまで凄いんですかあなたの目は!!ていうか言わないでください!!

「何で2人きりなのに押し倒さんのだ!って書かれて………………あの、リナ??」

 あぁぁガウリィさんのバカァァァァァァ!!!(激汗)

「ゼロス…………あんたはレポートに何書いたぁ〜〜〜〜〜?!」
「な、何も変な事は書いてませんよ?!」

 そりゃもうシャブラニグドゥ様に誓って!!

「問答無用!黄昏よりもで中略、ドラグ・スレイ〜〜〜〜〜〜〜〜ブ!!」


 どがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!


「のひぃぃぃぃぃぃ!!!????」
「って、何で俺まで〜〜〜〜〜?!」






























 ひっさしぶりに書いたスレイヤーズ小説、楽しんでいただけましたでしょ〜か?
 スレイヤーズ、話はいくつか考えてあるんですが、原作やアニメとかで満足してるんで、別に自分でコンテンツもうけんでも いいかな〜と半ば本気で思いかけていた時もあったんですが、無事にかけてほっとしております、内容はあいかわらずへたれですけど(苦笑)
 てかここに来る人でスレイヤーズ読む人いるんだろ〜か(汗)
 きっかけは、去年の10月あたりに買った(日記で調べなきゃわかんないですけども(汗))劇場版スレイヤーズぷれみあむを昨日 ようやっと見たのが原因。
 楽しみは後にとっておくタイプとはいえ、長すぎだろいくらなんでも(爆)
 03・8・1の夜中の1時半ごろ。